クルクミンは、ウコンなどに含まれる黄色のポリフェノール化合物です。クルクミン類にはクルクミンとその類縁物質であるデメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンがあり、合わせてクルクミノイドと呼ばれています。
これらクルクミノイドの含有量やその含有割合は、ウコンの種類によって異なった傾向を持つため、健康食品などにおけるウコンの種類の判別や品質の評価には、クルクミノイドの分析が重要です。

主な種類としてウコン(秋ウコン)、キョウオウ(春ウコン)、ガジュツ(紫ウコン)などが知られています。薬局方には「ウコン」および「ウコン末」として収載されています。

ウコンに含有されているクルクミン量の比較

クルクミンは、栽培されたウコン等を原材料にし、有機溶媒抽出法やアルコール抽出法などによって、分離および抽出を行い、生産されています。

  • ウコン(ショウガ科の多年草、ターメリック、学名Curcuma longa)の主成分の一つ
  • 合成:1910 年に全合成、ポリフェノール類
  • 分子式:C21H20O6
  • 分子量:368.38 の固体(融点:183℃)
  • 色:Natural Yellow 3、鮮やかな黄色なので、天然の食用色素として使用

クルクミンの解説動画

認知症の早期発見、予防治療研究会主催セミナー<田平武先生(順天堂大学大学院客員教授)>

クルクミンの機能性成分の可能性

クルクミンは、in vitro(試験管内での)試験や動物試験において、抗菌作用、鎮痛作用、胆汁分泌促進作用、血圧降下作用、子宮収縮作用、コレステロール分解作用、抗腫瘍作用、胃腸管系作用など多岐にわたって研究されています。
海外では抗炎症作用、抗がん作用を目指した研究が進められ、これらの作用はクルクミンとその代謝物によることが明らかにされています。

B. B. Aggarwal & K. B. Harikumar: Int. J. Biochem. Cell Biol., 41, 40 (2009))

以下に、高齢社会を迎え、認知機能の維持改善が期待される中で、アミロイドβ凝集抑制作用+凝集かい離作用、強力な抗酸化作用による神経保護作用が報告されているクルクミンの作用メカニズムを科学していきます。

クルクミン の薬理作用

クルクミン はAβ40 の凝集阻害・凝集解離を促進する【その1】

Aβ(アミロイドベータ)は、アルツハイマー病(AD)の原因物質のひとつと言われており、脳にアミロイドβというタンパク質がたまることを引き金に、タウというタンパク質というが糸くずのように集まり、最終的には、脳が萎縮することがわかっています。抗認知症薬の多くはこのアミロイドβをターゲットにして研究・開発されています。

 

【電子顕微鏡下でのAβ40 凝集に対するクルクミンの作用】


Yang F. et al : J Biol Chem. : 280 (7) 5892-901 (2005)

クルクミン はAβ40 の凝集阻害・凝集解離を促進する【その2】


Yang F. et al : J Biol Chem. : 280 (7) 5892-901 (2005)

クルクミン はAβ42 オリゴマーによる神経細胞毒性を抑制する


Yang . et al : J Biol Chem. : 280 (7) 5892-901 (2005)

アミロイドベータ(Aβ)40と42オリゴマー

アルツハイマー病は、脳にアミロイドβというタンパク質がたまることを引き金に、タウタンパク質が糸くずのように集まり、脳の神経細胞が変性したり脱落したりして、脳が萎縮することがすでにわかっていました。遺伝子研究が進むにつれて、アミロイドβは脳にある前駆体タンパク質が、γセクレターゼという酵素で分解されてできることがわかりましたが、γセクレターゼがどんな酵素なのかは不明でした。通常多く見られるアミロイドβはアミノ酸が40個つながったものです。ところが、東京大学の岩坪教授らは、患者の脳にアミノ酸が42個つながったアミロイドβ(アミロイドβ42)がたまっているのを発見しました。アミロイドβ42は脳の中で固まりやすく、タウタンパク質の蓄積を促すなど発症に重要な役割を果たしていました。(「脳の糸くずのない未来」UTokyo Research引用)

βアミロイドオリゴマー(アミロイド班ではない)が増加、シナプスの数が減少し、その機能が低下、βアミロイドが沈着することが報告されています。(東京都老人総合研究所サイトより)

 

クルクミン は脳内に入り、凝集斑に結合する


Yang F. et al : J Biol Chem. : 280 (7) 5892-901 (2005)

 

クルクミン はα-シヌクレインの凝集を抑制し、凝集も解離させる


Ono K., Yamada M. : J. Neurochem. 97, 105-115 (2006)

αシヌクレインとレビー小体

αシヌクレインはレビー小体型認知症の原因物質であるレビー小体の主なタンパク質です。レビー小体が脳の大脳皮質(人がものを考える時の中枢的な役割を持っている場所)や、脳幹(呼吸や血液の循環に携わる人が生きる上で重要な場所)に集まるため、神経細胞が壊れて減少し神経を上手く伝えられなくなり、認知症の症状が起こります。

レビー小体型認知症の特徴は、幻視や妄想、睡眠中に大声で叫んだり激しい体の動きがある、転倒や失神を繰り返す他、手足の筋肉のこわばりやふるえ、表情が乏しくなるなどパーキンソン病に似た症状(パーキンソン症状)がみられるなどがあります。

パーキンソン病とレビー小体型認知症は、レビー小体病の一連の病態の一つと考えられており、レビー小体のみられる範囲が脳幹か脳全体かによって鑑別されますが、死後に脳の細胞を顕微鏡で観察して確認できるもので、生前に鑑別することはできません。

 

クルクミン は老人斑を減少させ、Aβ量を減少させた

アルツハイマー・モデルマウス(Tg2576)にクルクミンを500 ppmの混餌を17ケ月齢から食べさせ、22ケ月齢で測定


Yang F. et al : J Biol Chem. : 280 (7) 5892-901 (2005)

ストレプトゾトシン(STZ) 誘発記憶障害マウスに対するクルクミンの作用①

●マウス脳室内へのSTZ 投与による記憶障害誘発作用(モーリス水迷路試験)

Awasthi H, Tota S, Hanif K, Nath C, Shukla R; Life Sci. 2010 ;86(3-4):87-94.

Data values are expressed as mean latency time (S) ± S.E.M.
*Significant difference (**P < 0.001) in latency time as compared to session 1.

ストレプトゾトシン(STZ)

天然由来の有機化合物であり、特に哺乳類の膵臓β細胞への毒性を持つ。動物実験用試薬として糖尿病や記憶障害のモデル動物を作成する際に用いられる。

STZ のマウス脳室内投与で、記憶障害が誘発されたマウスを用いる。

 

ストレプトゾトシン(STZ) 誘発記憶障害マウスに対するクルクミンの作用②

●STZ 誘発記憶障害マウスに及ぼすクルクミン(10, 20 および50 mg/kg,po)の作用


Awasthi H, Tota S, Hanif K, Nath C, Shukla R; Life Sci. 2010 ;86(3-4):87-94

Data values are expressed as mean latency time (S) ± S.E.M.
*Significant difference (*P < 0.01 and **P < 0.001) in latency time as compared to session 1.

クルクミンは用量依存的(投与する量に比例して効果が表れる)にSTZ 誘発記憶障害を改善させた

ストレプトゾトシン(STZ) 誘発記憶障害マウスに対するクルクミンの作用③

●脳血流量(CBF) 低下に及ぼすクルクミン(10, 20 および50 mg/kg, po)の作用

Awasthi H, Tota S, Hanif K, Nath C, Shukla R; Life Sci. 2010 ;86(3-4):87-94
Data values are expressed as mean blood perfusion unit (BPU) ± S.E.M.
#Significant difference (#P < 0.001) in BPU as compared to control and
* significant difference (*P < 0.01 and **P < 0.001) in BPU as compared to the STZ group.

クルクミンは用量依存的にSTZ 誘発脳血流量低下を改善させた

ストレプトゾトシン(STZ) 誘発記憶障害マウスに対するクルクミンの作用④

マロンジアルデヒド(MDA)、グルタチオン(GSH) およびアセチルコリンエステラーゼ(AChE) に及ぼすクルクミン(10, 20 および50 mg/kg, po)の作用


Awasthi H, Tota S, Hanif K, Nath C, Shukla R; Life Sci. 2010 ;86(3-4):87-94.
Data values are expressed as mean ± S.E.M.
#Significant difference (#P < 0.001) as compared to control and aCFS group and
* significant difference (*P < 0.001) as compared to the STZ group.
クルクミンは酸化ストレスを軽減し、グルタチオン濃度を上昇させ、アセチルコリンエステラーゼ活性を抑制した

クルクミンの吸収・代謝

一般に、経口摂取されたクルクミンの多くは、直接糞便中に排出されるが、一部のクルクミンは小腸から吸収されて肝臓で代謝を受け、グルクロン酸や硫酸などに抱合され(多くはグルクロン酸抱合体)、血流にのって生体内を循環し、種々の臓器に到達すると考えられています。

クルクミンはin vitro試験や動物試験で様々な研究報告がある一方で、吸収性の問題で人での臨床効果に懐疑的な論説が報じられています。

その要因のひとつは脂溶性のクルクミンの難吸収性にあります。水に溶けにくいクルクミンは単体で摂取すると大半が吸収されずに体の外にそのまま出てしまいます。そのため、クルクミンのバイオアベイラビリティ(生物学的利用能:摂取した成分が体全体に到達する割合)を高めるために、それぞれの会社でさまざまな工夫が行われています。「メモリン」の場合は、クルクミンをスクワレンに溶解することで、小腸管内での安定性と吸収を促進させ(レキオファーマ特許)、さらにピペリン(黒胡椒)を配合することで、小腸内での代謝を阻害して生体内利用能を大幅に改善しています。

クルクミンの吸収に関する詳しい説明は

「クルクミンの吸収のメカニズム」(もっと知りたいメモリン)

スクワレン(さめ油)・ピペリン(黒胡椒)配合に関する詳しい説明は

スクワレン・ピペリン配合クルクミンの吸収とバイオアベリラビリティ(もっと知りたいメモリン)

 

クルクミン の安全性・副作用

クルクミン の安全性・副作用①

BMC Complementary and Alternative Medicine 2006, 6:10
クルクミン500、1,000、2,000、4,000、6,000、8,000、10,000、12,000mg/日投与群(被験者各3名)のうち、副作用(下痢、頭痛、発疹、黄色便)が認められたのは7名(30%)で、用量依存性は認められなかった。
(クルクミンの最大耐用量=12,000mg/日)

クルクミン の安全性・副作用②

  • がん患者における第1相臨床試験の結果では、クルクミン8,000 mg/日、3ヶ月間の経口投与は安全であった。
  • 18歳以上の乾癬患者12名にクルクミン4.5g/日を12週間摂取させたところ、3名で症状が悪化したという報告がある。
  • 38歳男性がクルクミン含有の錠剤を20-30錠×2回/日(クルクミンを含むターメリックの含有量約4.5g/日)(摂取量は、医師に指示された量の倍以上)を1ヶ月間摂取し、完全房室ブロックを発症したという報告がある。
  • 急性毒性:クルクミンをマウスに経口投与したときの50%致死量(LD50)は2.0 g/kg以上である。クルクミンは、第61回JECFA(2003.6)において添加物としての再評価がなされ、ADIは0-3 mg/kg体重とされた。
  • クルクミンがリーシュマニアに対して毒性を示し、LD50は36.7±3.5μMであったという報告がある。※リーシュマニア=サシチョウバエによって媒介される寄生虫。