ヒューペルジンAの有効領域と健康食品としての使用

ヒューペルジンAは海外では認知症の治療目的として使用されていますが、有効量(300µg以上)と安全域(400µg)の幅がそれほど広くないため医師の観察のもと使用することが推奨されています。

健康食品として使用する場合、高齢者や薬剤過敏のある方のように少量でも反応(効果・副作用)するケースがあるため、大量に使用しても問題がない範囲で配合量を設定する必要があります。(メモリンは有効量の10分の1)

ヒューペルジンAの解説動画

認知症の早期発見、予防治療研究会主催セミナー<田平武先生(順天堂大学客員教授)>

ヒューペルジン A の薬理作用

アセチルコリンエステラーゼ阻害作用

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の作用部位 (1) ACh 分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ (AChE) を競合阻害することにより ACh の分解を減らし, ACh の神経伝達効率をあげ、AD の中核症状を改善させる. (2) ニコチン性 ACh 受容体の作用をアロステリックに増強し, ACh を含む神経伝達物質の遊離を促進する. (3) BuCh 分解酵素であるブチリルコリンエステラーゼを阻害する。

ヒューペルジン Aおよび対照薬の覚醒ラット大脳皮質アセチルコリン量に及ぼす作用

Liang, Y.Q.; Tang, X.C. : Neurosci Lett 2004, 361(1-3): 56-59

ヒューペルジンA は覚醒ラットの大脳皮質アセチルコリン量を増加させた。その活性は、モル比較で、ドネペジルの8倍、リバスチグミンの2倍であった。 ヒューペルジンA の活性は対照薬に比べて持続的であった。

ヒューペルジンA および対照薬をラットに腹腔内投与した時の、大脳皮質アセチルコリン量およびコリンエステラーゼ活性との関係

ヒューペルジンA、ドネペジルおよびリバスチグミンを腹腔内投与した時、ラットの大脳皮質のアセチルコリン量の上昇は同程度にも関わらず、リバスチグミンのみ、AChE活性を強く抑制していた。
(Liang, Y.Q.; Tang, X.C. : Neurosci Lett 2004, 361(1-3): 56-59)

 

 

ラット内側前頭前皮質および海馬のアセチルコリン濃度に及ぼす ヒューペルジンA の 30 日連続経口投与による影響

 

ヒューペルジンA は、30日間の連続経口投与にもかかわらず、作用は減弱せず、薬物耐性を示さなかった
(Liang, Y.Q.; Tang, X.C. Acta Pharmacol Sin 2006, 27(9): 1127-1136)

ラット皮質におけるAChE および血清BuChE に対するヒューペルジンA および対照薬の阻害作用の比較

1) In vitro におけるアセチルコリンエステラーゼ(AChE) 阻害活性は、donepezil>ヒューペルジンA>tacrine>physostigmine>galanthamine>rivastigmine の順であるが、in vivo では、ヒューペルジンAがdonepezilの約10倍強いアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示す。

2) ブチルリコリンエステラーゼ阻害活性(BuChE) はヒューペルジンA が最も弱く、AChE に対する選択性が高い。この結果、ヒューペルジンA は、末梢での副作用が少ないことが示唆される。
(Ma, X.; Tan, C.; Zhu, D.; Gang, D.R.; Xiao, P. : J Ethnopharmacol 2007, 113(1): 15)

NMDA受容体拮抗作用

ヒューペルジン A は、メマンチンと同様にグルタミン酸の代わりにNMDA受容体に結合し、拮抗作用を及ぼす事で、Caイオンの後膜への流入を阻止し、神経細胞の障害を防ぐ働きがある。(Nikkei Medical 2011.2, 61p)

 

 

 

 

NMDAによる神経細胞毒性の抑制

Gordon RK, Nigam SV, Weitz JA, Dave JR, Doctor BP, Ved HS. J Appl Toxicol. 2001 Dec;21 Suppl 1:S47-51.

アセチルコリンとドパミンへの作用

ヒューペルジンA をラットに腹腔内投与した時の、大脳皮質アセチルコリン量、ノルエピネフリン量およびドパミン量に及ぼす作用。ヒューペルジンA はドパミンを増やす作用がある

Zhu, X.D.; Giacobini, E. J Neurosci Res 1995, 41(6): 828-835

ラット内側前頭前皮質および海馬のドーパミン濃度に及ぼすヒューペルジンA、ドネペジルおよびリバスチグミンの作用


モル濃度比較で、ヒューペルジンA は、経口投与でラット内側前頭前皮質および海馬のドーパミン濃
度を、donepezil の11倍、rivastigmine の2倍増加させた
(Liang, Y.Q.; Tang, X.C. Acta Pharmacol Sin 2006, 27(9): 1127-1136)

ヒューペルジン A の薬物動態試験

A. ヒト試験

ヒューペウジンA錠(0.4 mg) を12人(男6名、女6名、20~25歳)に1回服用させ、薬物動態を調べた。ヒューペルジンA は2相性で、速やかな分布と、ゆっくりとした排泄パターンを示した。
(Li, Y.X.; Zhang, R.Q.; Li, C.R.; Jiang, X.H. Eur J Drug Metab Pharmacokinet 2007, 32(4): 183-187)

B-1. イヌ試験

ヒューペルジンA 錠(0.1 mg) をイヌに経口および静脈内投与して得た生体内利用率(Bioavailability;
BA) は94.4% と高い値を示した。
(Chu, D.; Liu, W.; Li, Y.; Li, P.; Gu, J.; Liu, K. Planta Med 2006, 72(6): 552-555)

B-2. イヌ試験

連続投与においても、ヒューペルジンAの薬物動態に大きな変化はない。
(Ye, J.C.; Zeng, S.; Zheng, G.L.; Chen, G.S. Int J Pharm 2008, 356(1-2): 187-192)

C. ラット試験

[3H]-ヒューペルジンA  13.9 MBq (メガベクレル)/kg をラットに静脈内投与および胃内投与(i.g. : intragastric administration) した時の薬物動態

D. マウス試験

  • [3H]-ヒューペルジンA 9.25 MBq (メガベクレル)/kg をマウスに静脈内投与した時、腎臓と肝臓に高い放射活性が、脾臓、肺および心臓に中等度の活性が、また、脳には低レベルの活性が認められた。糞中には微量の活性しか検出されなかった。
  • 血漿蛋白結合率は17% であった。
  • 24時間内の尿中排泄率は73% 糞中は2.4%であった。未変化体および代謝物が尿中に検出された。
    (Wang YE, Feng J, Lu WH, Tang XC. Zhongguo Yao Li Xue Bao (= Acta Pharmacol Sin). 1988 May;9(3):193-196.)

ヒューペルジン A  の臨床成績

ヒューペルジン A のメタ解析

Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Diseaseand Vascular Dementia: A Meta-Analysis
Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.Evid Based Complement Alternat Med. 2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014Feb 3. Review.
<要約>
アルツハイマー型認知症(AD) および血管性認知症(VD) 患者に対するHupA を用いた過去(2013年まで)のプラセボ対照の無作為化臨床試験について、メタ解析を行った。測定された基本の臨床評価として、簡易認知症機能検査(MMSE) と日常生活動作(ADL) を選んだ。筆者らの試験対照患者基準に照らし合わせて、733 例のAD患者を用いた8群の臨床試験、および92例の患者を用いた2群のVD試験を選んだ。
HupAはADおよびVD患者のMMSEおよびADLスコアを有意に改善し、服用継続の長いAD患者ほど、良い結果につながっていた。HupAをAD患者を記憶指数(MQ) で測定したところ、認知機能の有意な改善が認められた。
AD患者での副作用の大部分は、軽度~中等度であり、一過性であった。この解析では、AD患者と比較してVD患者の副作用の方が軽度であった。
このように、HupAは、AD およびVD患者の認知行動の有意な改善作用を有し、認容性に優れた薬物であるが、臨床使用に当たっては注意が必要である。

メタ解析(メタアナリシス)とは

複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことである。ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスは、根拠に基づく医療において、最も質の高い根拠とされる。

メタアナリシスという言葉は、情報の収集から吟味解析までのシステマティック・レビューと同様に用いられることがある。厳密に区別する場合、メタアナリシスはデータ解析の部分を指す。(Wikipedea抜粋)

 

 

Flow diagram of the study selecting process forAD (a) and VD (b)

Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia: A Meta-Analysis:Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.:Evid Based Complement Alternat Med.2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014 Feb 3. Review.

Study characteristics of all included clinical trials(AD and VD)


Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia: A Meta-Analysis:Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.:Evid Based Complement Alternat Med. 2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014 Feb 3. Review.

Forest plot with the weighted mean difference (WMD) onminimental state examination (MMSE) of Hup A relative toplacebo in AD with 95% CI of the trials included in metaanalysis

Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia: A Meta-Analysis:Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.:Evid Based Complement Alternat Med.2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014 Feb 3. Review.

HupAはAD患者のMMSEを有意に改善し、服用の長い患者ほど、良い結果につながっていた。

Other results of meta-analysis for the efficacy ofHup A for AD or VD patients


Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia: A Meta-Analysis:Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.:Evid Based Complement Alternat Med. 2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014 Feb 3. Review.

アルツハイマー型認知症患者:ヒューペルジンA はAD患者のHDS(長谷川式)およびMQを有意に改善した。
脳血管性認知症患者:ヒューペルジンA はVD患者のMMSEおよびADLを有意に改善した。

Forest plot with the weighted mean difference (WMD)on daily living scale (ADL) of Hup A relative to placebo in AD with 95% CI of the trials included in meta-analysis

Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia: A Meta-Analysis:Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.:Evid Based Complement Alternat Med. 2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014 Feb 3. Review.

ヒューペルジンA はAD患者のADLスコアを有意に改善した。

Incidence of adverse events for AD

AD患者:ヒューペルジンA群はプラセボ群と比較して、軽度の末梢コリン性副作用、たとえばドライマウス、軽度の腹痛および下痢の発生頻度が高かった。一方、バイタルサイン、血液パラメーターおよび心電図に影響を及ぼさなかった。悪心や嘔吐が2つの臨床試験で認められた。
VD患者:有意ではなかったが胃腸障害、便秘が認められた。また、一例にのみ、軽度の悪心と目まいがあったが、服用継続には問題なかった。

Number of cases with side effects in Hup A group versus placebo group for AD


Huperzine A in the Treatment of Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia: A Meta-Analysis:Xing SH, Zhu CX, Zhang R, An L.:Evid Based Complement Alternat Med. 2014;2014:363985. doi: 10.1155/2014/363985. Epub 2014 Feb 3. Review.

AD患者の副作用発生数をメタ解析した結果、ヒューペルジンA群はプラセボ群と比較して有意な差は認められなかった。この結果から、ヒューペルジンAは認容性に優れていることが示された。

ヒューペルジンA の臨床効果(経時変化)

Wang BS, Wang H, Wei ZH, Song YY, Zhang L, Chen HZ. J Neural Transm. 2009 Apr;116(4):457-465.

血管性認知症に対するヒューペルジン A の効果①

被験者の背景


Xu ZQ, Liang XM, Juan-Wu, Zhang YF, Zhu CX, Jiang XJ; Cell Biochem Biophys. 2012 ;62(1):55-58.

血管性認知症に対するヒューペルジン A の効果②


Xu ZQ, Liang XM, Juan-Wu, ZhangYF, Zhu CX, Jiang XJ; Cell Biochem Biophys. 2012 ;62(1):55-58.

MMSE、CDR、ADLとも治療後8週間から有意にスコアが改善された